気づけば身体が揺れている。心地よいグルーヴに身を任せているうちに、いつの間にか知らない景色が見えてくる。
ネオソウルやエキゾファンクをベースに、ジャズの即興性や異国情緒を織り交ぜたサウンドを鳴らす3ピースバンド、Manda。浮遊感のある音に身を委ねていると、ふいに現れる意外な展開にハッとさせられる。そんな心地よさと刺激の入り混じるサウンドが、いつの間にか耳から離れなくなる。
自由でありたいという願いと、社会のなかで生きる現実。相反するものに惹かれ、矛盾を抱えながらも、そのどちらも手放せない。Mandaの音楽には、そんな簡単には割り切れない感情を、ひとつの表現のなかに溶け合わせる面白さがある。
若き音楽の探求者である3人は、どんな音に心を動かされ、何を自分たちの表現へと取り込んできたのだろう。バンド結成のきっかけから、それぞれが影響を受けてきたアーティストや作品まで。3人の音楽遍歴をたどりながら、Mandaのサウンドを形づくる感性と、その源流を探っていく。

—— Mandaのバンドの始まりを教えてください。2022年結成、大学のジャズサークルのメンバーでスタートしたんですよね。
本当の始まりは、現代アートの授業の最終発表がきっかけです。
大学にある6段階段を、Ryuが「上半身裸でスケボーに乗って飛ぶ」という発表をしたんですね。それが奇跡的に成功して、その興奮と勢いのまま、「インド哲学を音楽に昇華して歌う作品」を発表していたNimishaにバンドやろうぜ!と…。あとからCUが参加して、Mandaが始まりました。
メンバーそれぞれが、違った国や文化のルーツを持ちながら、帰属することのないオルタナティブなサウンドを作っているバンドです。ロックからソウル、精神から叙情までを歌と音で横断していく実験的なサウンドと構成が私たちの魅力だと思っています。
—— みなさんが、それぞれ最近よく聴いている音楽を教えてください。
Nimisha : Jeff Parker、Elliot Skinner、Tiny Desk で知ったMon Rovîa。
Ryu:AC/DCとDenzel Curryで筋肉を追い込んでます。革命的だと思った最近のアルバムはJPEGMAFIAのExperimental rapとFlying Lotus のBig Mama。
CU:Leif Kaner-LidströmのIn Search Of Beautyというアルバムをヘビロテしてます。気分を上げたい時はNubiyan Twistを聴いています。
—— これまでの作品で⼀番のお気に⼊りの一曲とその理由を教えてください。
Nimisha:“ What Do You Mean ”。バンド結成のきっかけにもなったサークルのライブで始めてMandaの編成した曲。当日なんとなく書いた歌詞が、ライブで歌うたびに玉ねぎみたいに色んな意味合いが見えてきてます。
“ There’s silencing words and deafening silence/ so don’t be too quick to put a name on this ” は、個人としてもバンドとしても大事にしている志を思い出させてくれてます。
Ryu:“ Afloat ”。最初の曲。7時間のボーカルレコーディング2日と初めてのミックス、リリース、喧嘩。思い出しかない。
CU:収録曲だと“ Fountainhead ”です。他の曲はRyuの言うように、かなり紆余曲折して作り上げたんですけど、これだけはバチっと、スッと決まった記憶があって。Mandaの自由な側面が一番見える曲かもしれないです。
未収録曲でいうと“ The Game ”という曲と、最近の新曲たち(名称未定)が好きで…これは是非ライブで聴いてみてください。

—— みなさんがこれまで最も影響を受けたカルチャー、アーティストを教えてください。
Nimisha:Hiatus Kaiyote, Shakti, Robert Glasper, Nina Simone, Jordan Rakei, Kelela…。
アーティストは多すぎますが全員ジャズとソウルの可能性を大きく広げてる。特に、インド・南アジア系ディアスポラミュージシャン(Ganavya, Sid Sriram, Aditya Prakash, Arooj Aftabなど) の、自身のルーツをジャズやソウルと掛け合わせて再解釈する試みに大きく影響を受けてます。
Ryu:人生で初めて行ったliveはKOHH(千葉雄喜)。
ベースを始めたきっかけはRed Hot Chili Peppers。
衝撃を受けたバンドはHiatus Kaiyote。
目指してるベーシストはDerrick Hodge。
音楽そのものの原点は頂 ITADAKIという静岡で開催されていたイベント。パーティーは駐車場から始まっているということを教えてくれた。僕の魂です。
CU:2つ転換点があって、1つはエレクトーンを習っていた時に演奏したJ-Jazzです。元々音楽に興味がなくて…5歳から始めて4年ほど惰性で続けていたんですけど。ある日、熱帯ジャズ楽団の「Obatala」の楽譜を渡されて「あれ?かっこいいな」と…そこで音楽に興味をもった記憶があります。
もう一つは中学生の頃、インターネットに突如現れたVOCALOID。ELECTROCUTICAやきくおなど、とんでもない作り込みをする同人作家さんたちにハマって、それで音楽好きなんだなとハッキリ気づきました。
—— Mandaの音楽には、”境界のないグルーヴ”と”社会や他者との接続の違和感”という、一見すると相反するものが同居しています。みなさんにとって、この2つはどのようにつながっているのでしょうか。
Nimisha:Mandaの音楽の根源には、理想と現実の差や、両方を求めてしまう矛盾から生まれる葛藤があると思っていて。
枠にはめられない表現をしたい気持ちと型にはめられやすい社会や業界のシステム。スピリチュアルな日常を送りたい気持ちと、お金や物や名誉が欲しいというリアルな気持ち。
言葉だと2つの矛盾していることを同時に表現するのは難しいけど、音楽だと共存させられる気持ちがたくさんある。ある種の交渉の場なのかもしれない。
Ryu:上記と同じ。人間の気持ちも世界の動きも周期と波があるように感じます。
夏と冬、喜怒哀楽、戦争と平和、ストレートとフォーク。さらに、どれも二項対立で表せるほど単純じゃないと思っていて、その辺をライブに昇華している?したい!
CU:個人的な意見ですが、結局何をやっても(好きなことですらも)、「なんか違うな、正反対にいきたいな。でもこっちも捨て難いな」みたいな瞬間が誰しもあると思っていて。その揺らぎが「違和感や境界のあやふやさ」として、それ自体が表記揺れ的なニュアンスをもって表現できるだけなのかなと考えています。
そして我々の表現は音楽だっただけのことだと思います。

—— 実際の曲作りは、いつもどのように進めているのですか?
原案はセッションやジャム、サウンドチェック中に回してた録音などから出てきたフレーズを元に考えることが多いですね。そこから3人で展開をつけて、Nimishaがそこに合わせて歌詞を考えたり。メンバーが原案デモを持ってくるパターンもあります。
—— Mandaのライブでは3人のグルーヴ感にすごく惹き込まれて、時空が歪んでいるかのようでした。各パートのソロの即興性も大きな魅力ですが、演奏が予想外の方向へいく瞬間もあるのでしょうか?
Nimisha:ギター曲はコードがあまり展開しないため、音階で遊ぶ余地はたくさんあります。、マイナーになったりメジャーになったり、たまには実験的に、その日のムードに合わせて気持ちいい響きを見つけにいってます。リハに向かう車内で流してた音楽に影響されたりも。
Ryu:いく時もあるのですが、意外と三人とも真面目だからちゃんと帰ってくることが多いですね。1時間同じ曲やっちゃうみたいなことはまだないです。
CU:書きづらいですが…誰かが大きなミスをすると、3人とも逆に気が楽になって予想外に良い展開を作ることもあります(笑)。ただ、あらかじめ決めたことや原曲から大きく破綻するようなことはほとんどない気がします。
—— Mandaという名前には、”本質”や”これ以上ないもの”という意味が込められているそうですが、今のMandaにとって “これ以上ない音” ってどんな状態だと思いますか?
ビッグバン、宇宙創生的な、もはや音楽ではない音だと思います。

—— 最近、「これいいな」と思った作品(音楽・映画・本・アートなど)があれば教えてください。
Nimisha:Kaveh Akbar の小説 「Martyr!」。芸術と殉教と喪失と移民のテーマを探る作品、読み終わってからずーっと頭をよぎってます。(邦訳版、早く出版されると良いな。)
Ryu:映画「ラスベガスをやっつけろ」で爆笑しました。
CU:最近知ったわけではないのですが、改めて読み返した「ヘテロゲニア・リンギスティコ」が改めて良い漫画だなと。学者の主人公が、魔界の様々な種族の言語を手探りで解きながら旅をするのですが、その言語の発想が思いもよらないもので大好きです。犬獣人は匂いで会話するから無口とか、リザードマンは色で言葉を書くとか…。
やっぱり自分の想像もつかない発想が出てくる作品が好きだなと思います。本当はホラー映画やSF作品が大好きなんですけど、最近見れていなくて…逆におすすめの作品をみなさんから教えて欲しいです。
—— ⾳楽制作のインスピレーションや制作で大切にしていることは?
Nimisha:瞑想の時間。
Ryu:バンドメンバーと友達でいること、筋トレ
CU:インスピレーションでいうと寝て、夢を見ること。工程として大切にしているのは、思いついたらすぐメモをすること。私がとても忘れっぽいので。後からメモを見返してもわからない時の方が多いですが…。
—— 最近気になっているニュースや社会問題は?
Nimisha:「移民問題」、外国人にまつわる制度の厳格化。
Ryu:戦争
CU:技術的な問題が気になることが多いです。ここ最近多発しているハッキングや、生成AIによる著作権の問題など。
—— 創作活動に⽋かせないアイテムや機材はありますか?
Nimisha:ギタリストSantanaを真似て、家で練習/曲作りする前は、必ずキャンドルかお香を焚いてます。
Ryu:アイテムではないのですが、愛犬がいなかったら何もできていなかった。
CU:アイテムというか…「納期」は大事ですね。痺れるような締切デッドヒートがあってこそ創作は完結できるので。あとは美味しいお酒です。
—— 今注⽬している、またはコラボしてみたいアーティストはいますか?
Denzel Curry
—— ⾳楽活動以外で好きなこと、ハマってることはありますか?
Nimisha:近所の小学生とのバドミントン。
Ryu:バーベルスクワット(ローバー)
CU:凧揚げ。空が好きなんですけど、空を見る口実になるので好きです。
—— 最後に、Mandaのファンの皆さんと、これからMandaの⾳楽に出会う⼈に向けてメッセージをお願いします!
音楽が飽和している時代に、私たちの曲を聴いてくださってありがとうございます。聴くを超えた “体験” をするようなライブを制作しているので、是非遊びに来てください。

Photography by @sumiretamura 📷
Interview & Text by @saori8
Special Thanks! 🎶 @litewave.corp ✨⚡️
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Manda 約1年ぶりにBLUE NOTE PLACEでのライブが決定!年内唯一のワンマンをお見逃しなく🎶
Manda One Man Live 2026 🎸
📍 会場:BLUE NOTE PLACE
🗓️ 開催日程:2026年11月28日(土)
🕒 Open:17:30 / LIVE:18:30〜
🎫CHARGE / 1F席¥4,500(税込) / 2F席¥3,500(税込)
*料金は1名様あたりの金額。別途、お1人様1オーダー以上。
▼ご予約・詳細はこちら
https://www.bluenoteplace.jp/live/manda-261128/

