太陽に照らされながらもどこか幽玄なサンローランのメンズコレクションを、デザイナーのアンソニー・ヴァカレロが披露した。舞台はパリ中心部だけでなく、ニューヨークの伝説的クィアコミュニティ、ファイアーアイランドの間を漂うような空間だった。

会場はケリング傘下ピノー家の誇るパリの芸術宮殿、ボルス・ド・コマース。ここで、イヴ・サンローランの逃避と再生の歴史に敬意を表したショーが繰り広げられた。

フロントロウにはフランシス・フォード・コッポラ、ラミ・マレック、アーロン&サム・テイラー=ジョンソン、そしてハウスの象徴ベティ・カトルーなどスターたちが集い、そのブランドの強い魅力を際立たせた。

1950年代、オランでのサンローランの象徴的な写真を彷彿とさせるオーバーサイズのショーツやボクシーなトレンチコート、肩幅を強調したブレザーが登場。しかしそれらは、微妙に符号化された官能性をまとい、新しい時代へと再構築されていた。マスタードやプールブルーの鮮やかな差し色が、落ち着いた砂色のパレットの中で小さな情熱の火花を散らす。

しかしこのコレクションを真に際立たせたのは、感情の正直さだった。完璧なコントロールと洗練を称賛されるヴァカレロが、虚無と真正面から向き合ったのだ。

ショーノートには「美が虚無に対する盾として機能していた時代」という言葉が記されている。このフレーズは、サンローラン自身の孤独や依存症との戦いを思い起こさせるだけでなく、彼の世代の多くのゲイ男性が抱えた秘密の符号や抑えきれない渇望をも浮かび上がらせる。

その秘密めいた感覚は衣服の随所に表れていた。第二ボタンの下に隠されたネクタイは、何か私的なものを隠すかのよう。サングラスは目を覆い、世界との距離を保つ役割を果たしている。これらは単なるスタイリングではなく、自己防衛と微かな反抗の行為であり、ファイアーアイランドやクローゼット時代のパリで行われていた隠蔽と符号化された欲望の儀式を呼び起こす。ファイアーアイランドは世代を超えゲイ男性の自由を象徴した場所であると同時に、露見や差別、エイズ危機の悲劇も孕んでいた。

AP Photo / Michel Euler

ファッション界のライバル関係と名高い会場

セレスト・ブーシエ=ムジェノの漂う磁器の鉢をテーマにしたインスタレーションが、壊れやすい美しさの衝突と分離を表現していたのと同様に、モデルたちも同じランウェイにいながら異なる世界に存在し、渇望と孤独をその下に抱えていた。

ケリングが厳しい四半期と鈍化する高級品需要に直面する中、今季の壮大な舞台は特に鋭さを増した。グループはサンローランという芸術的な宝石を使い、劇的な美術館の場で創造力を見せつけ、話題を呼び込み、投資家に文化的な力をアピールした。

会場自体がピノーコレクションの本拠地であり、フランス高級ブランドの頂点での激しい競争を体現している。ピノー家はケリングを支配しサンローランを所有。一方、その宿敵ベルナール・アルノーはLVMHとルイ・ヴィトン財団を率いている。今季は特に、サンローランのショーがルイ・ヴィトンのそれより数時間前に行われ、パリのファッション覇権争いにおいて味覚、権力、企業の誇りを示す一大宣言となった。

コレクションは驚きを多くは提供しなかったが、万人受けするシルエットに寄り添い、商業的にも成功を収めた。これほど強力なハウスが本領を発揮すれば、パリの誰も文句を言わない。もっと多くを望み、心を守る術を身につけた者たちのためのコレクションだ。

(AP Photo / Michel Euler


By THOMAS ADAMSON AP Culture Writer
PARIS (AP)